加藤進@永遠の旅行者
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第3回 立待岬

高校生暴行死と市民の責任                加藤進
 8月1日のこの欄で、「人間を育てるのは人間である」として、日本中で起こっている少年の事件に関連して書かせていただいた。同じ月の26日、高校生が直接・間接の暴力によって命を落とすという衝撃的な事件が、函館市内の公園で起こった。
 私はこの事件をニュースで知り、自分を含めた函館市民の責任を思った。函館という地域が、社会がそういう子を育て、土壌を作ってしまったのだと。
 函館の子どもたちは明るい未来を展望できない。生活保護世帯が年間1万を超え、その予算は180億円にものぼる。高校を出ても道南地域に仕事は無く、過半数が道南以外へと就職していく。仕事に就いたところで、パート・アルバイト・契約・派遣・準社員などという非正規雇用が正規雇用を大きく上回り、「いつ仕事を失ってもおかしくない状態」での労働を余儀なくされている。このような経済的に不安定な状態は結婚や出産を人生の選択肢に加えることも許さない。自分たちの願いを政治に届けようという意識も北海道で一番低い。それは選挙の投票率から見てとれる。最高学府である教育大学や未来大学には学生自治会も無く、自らの未来や環境を自らの力で変えていくという方法も学ばせてもらえない。
 世の中は強いものが弱いものを叩き、弱いものがさらに弱いものを叩くという構造がすっかり定着している。会社においてはセクハラ、パワハラ、リストラ、国内においては様々な格差のさらなる広がり、国際的には国連無視の武力行使。大人がつくってきた社会を子どもたちは情報として受け止め、未来に対して夢や希望を持つことも出来ないまま、同じような大人になろうとしている。
 私は子どもに罪はないと思う。生まれてくる子どもは一人残らず幸せになろうと思って生まれてくる。不幸になろうとか、人を不幸にしようとか、そう思って生まれてくる子どもはいない。子どもには幸せになる権利があり、大人には子どもを幸せにする義務がある。そう、子どもを幸せにする義務が大人にはあると思う。
(本文823字)
(有限会社みのり 代表取締役)

posted by かとうすすむ  日記  コメント (1)

コメント

  1. ミウ より:

    なんだか不思議な気持ちになりました。
    両親が蒸発…私は親に捨てられたから…
    まだ親に養ってもらっていた頃…産まなきゃ良かったとか沢山傷つくこと言われて精神的にも肉体的にもボロボロでした…
    人は幸せになる為に生きていくんだって最近ようやく教えられて
    今ブログをみて…こんなふうに考えてくれる大人もいるんだって知って嬉しくなりました
    世界の親がみんなそんな考えを持てたらきっと平和になるんじゃないかって
    そう信じてみたくなりました

加藤進(かとうすすむ)

加藤進

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  • アトム不動産 代表

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