してはいけない質問
親が子どもにしてはいけない質問がある。
「お父さんとお母さんと、どっちが好き?」というものである。これは子どもを困らせる質問だから、しては行けないと思うし、しないようにと夫婦で申し合わせしている。
それでも意地悪心から聞いてみたくなる。そこでこんな風に聞いてみた。
「お父さんに似ているって言われる時と、ママに似ているって言われる時と、どっちが嬉しい?」
娘は正確に答えた。「ママに似てるって言われた時の方が嬉しい」。
子どもは正直である。
親が子どもにしてはいけない質問がある。
「お父さんとお母さんと、どっちが好き?」というものである。これは子どもを困らせる質問だから、しては行けないと思うし、しないようにと夫婦で申し合わせしている。
それでも意地悪心から聞いてみたくなる。そこでこんな風に聞いてみた。
「お父さんに似ているって言われる時と、ママに似ているって言われる時と、どっちが嬉しい?」
娘は正確に答えた。「ママに似てるって言われた時の方が嬉しい」。
子どもは正直である。
Susumu Kato
© 2009 susumukato.com
いつ頃だったかもう遠い昔のことで忘れてしまったけれど、ある日目の前の母親がまだ幼い自分に向かってこう言った。
「お母さんとお父さんと、どっちがスキ?」
突然のことに自分はびっくりしてしまった。
目の前にいる母親になんて言えばいいんだろう?
取りあえず母親も父親も好きだったので「両方好き」と答えたが、母親は「だからどっちがスキ?」と執拗に聞いてきた。
目の前の相手はどうしてもどちらか1人に決めて欲しいようだった。本能的に怖くなったが、ややの沈黙の後、こう答えた。
「・・・お母さんの方が好き」
気が済んだのか母親は満足げな顔で微笑んだが、自分は何かすごく悪いことをしたような気分になってその後激しく泣いてしまった。
あれから30年以上の月日が過ぎ、幾度となく相手の顔色を伺う場面に直面したが、まさしくあの日が、その最初の日だったのだ。
暴力とは、何も手を上げることだけがそれとは限らないということを、この実体験が教えてくれる。