父の教え
加藤弘二は私の父だ。昨日、勤労感謝の日が彼の誕生日だった。父は三男の家(茨城県)で誕生日を迎えていた。
父の教えについて書こうと思う。たぶん、父自身が記憶に無いだろう事を書く。
父の教え1:商売はするな。
父の父(私の祖父)は函館魚市場で一久加藤商店という仲買だか中卸だかを業としていた。とても貧乏だったらしい。「貧乏は嫌だ、商売は嫌だ」と思って、父は大学を出て、中学教員となった。その父だからこそ、私には「商売はするな」と言い続けた。どうしてダメなのかと聞いた時に、「いいか、200円で仕入れたものをお友達に300円で売れるか?」という質問を投げられた。それで、私も「商売はできない」って思った。(ちびまるこくらい単純である!)
その私が事業を起こした。だから、仕入れの無い商売を立ち上げたのだった。今は仕入れもある。しかし、お客様からの入金が先で仕入れ代が後っていう商売をしている。
父の教え2:科学が進歩すると働く場が無くなる
私が小学校低学年の時だったと思う。1975年ころかな。まだバブルにもならないころ、父は未来を予測した。「いいか、資本主義には未来がないんだ。科学が進歩し、世の中がどんどん便利になっていく中で、人々の仕事がコンピューターや機械に奪われて、失業者が増えて、就職難になるんだ。」このことを図示しながら父が丁寧に教えてくれた。あれから30年・・・。父の偉大さを思うよ。来春の高卒の内定率が北海道で14%。全国の大卒の内定率で62.5%だ。どうして父は、少年加藤進にこんな難しい話をしたんだろう。でも、確実に私の胸に残っていて、函館でもっともっと雇用を増やしたいという心の原動力になっている。
私が幼少の頃、きれいな家(建物そのものは古い教員住宅だったが)で、きれいな服を着せ、美味しいものを食べさせていたのは母親だった。母も小学校教員であったから、4人の男の子を育てながらの生活は大変だったと思う。父は中学教員として他所(よそ)の子どもの世話ばっかりに追われていた。でも、私の人生に影響を残すために要所要所に登場していたのが父なんだな。
俺も父みたいに子育てに影響したいのだよ。だから、まだ小学校にも行っていない長男に「不動産王にならないか」などとアホな話をしてしまうのである。